いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

娘に見る桐谷美玲

前髪を上げた娘は桐谷美玲に似ている。

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目の前にある娘の顔を眺めながらに思った。娘の黒目には、奇妙な私の顔が映っている。最近手に入れた「お化粧セット」で、娘が私の顔にメイクを施しているのだ。

 

ちなみに、髪を下ろした娘は田中みな実に似ている。ふとした横顔は広瀬すずにも見えるし、表情によっては橋本環奈を彷彿とさせられるときもある。

 

妻にそのことを言うと「いや、全然似てないから!」と呆れ顔で一蹴されてしまう。それでも私は娘の顔にたくさんの美女たちを垣間見る。吉岡里帆新垣結衣、本田翼、有村架純。男の「可愛い」なんてそんなものだ。好きだと思う存在には、可愛い面影が何層にも重なる。

 

そんなことを考えているうちに作業は終わったようだ。目の前にいる桐谷美玲が、私の顔をつぶさに検分する。よし、と満足そうにつぶやいた。「ぱぱ、かわいいよ」

 

「本当?」と私が聞くと、「うん、かわいいよ」と念を押す。さきほど黒目に映っていたのは“可愛い”からはほど遠い姿だったが、どうやら完成品はそうではないらしい。私は勇気をもらい、意気揚々と洗面所へと向かう。

 

鏡に映る自分の顔を見て驚愕とした。男の可愛いもアテにはならないが、女の言う可愛いも全く信用ならない。