いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

ねんねを巡る攻防

ねんねの前には、たいてい妻と娘の討論がある。昨日の模様は端から見ていてもなかなか見応えがあった。

 

妻「さぁ、もうねんねするよ」

娘「ねんねじゃないよ、あんぱんまんよ!」

 

この謎の返しは最近娘がよく使う戦法だ。意味は全くの不明なのだが、とにかく相手の言うことを否定するのに重きを置いているらしい。

 

ただ、妻も娘のこの手口は熟知しているので、対処方法はしっかりと心得ている。

 

妻「いや、アンパンマンじゃないよ、ねんねだよ!」

娘「ねんねじゃないよ、あんぱ・・」

妻「アンパンマンよ、でしょ、へ~んなの」

娘「あんぱんまんじゃないよ、ばいきんまんよ!」

 

このようにどんどん相手の言うことを否定し、アンパンマンキャラクターへと繋げていく娘。とにかく会話を煙に巻く作戦なのだろうが、次第に娘自体も混乱をきたしていく。

 

昨夜はその後メロンパンナまで登場したところで、遂に自分でも訳がわからなくなったのか、キャラクター名をでたらめに羅列していくという暴挙にでだした。

 

娘「あんぱんまん、ばいきんまんめろんぱん・・」

 

これはいわゆる最後のあがきだ。ここまで来るとあとは早い。妻は温存していた最後の切り札をとりだす。勝負は一瞬で決することとなる。

 

妻「もういい、じゃあママはねんねしよ、○○ちゃんひとりで起きててね、おやすみー」

娘「・・○○ちゃんも、ねんね!ねんね、するー!」

 

あざやかな一本勝ち。やはり言い争いでまだママに敵うわけがない。前日のパパ相手の際には、同じ戦法でアンパンマンソングを歌わせるところまでもっていけた娘だったが、今回ばかりは相手が悪かった。

 

私はこの攻防の一部始終を、ふたりに背を向けた状態で聞いていた。数分前に娘にかまって貰えず、「へそを曲げたぞのポーズ」をとったままだったのだ。

 

なるほど、こうやって娘を言い負かすのか。私は心のノートを開き、妻の華麗な論法を書き記した。

 

まぁ、私が同じ事をやったとて、娘はママに行くだけだろうけど。私はさらにヘソを曲げ、布団に顔を埋めた。