いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

テントごっこ

最近娘とよくする遊びがある。私は『テントごっこ』と名前を付けている。

 

クイーンサイズの掛け布団をテントに見立て、その中に娘と潜り込むのだ。

 

二人で寝そべった状態で私が片手を上げ支柱をつくると、中にはテントのような空間ができる。掛け布団が透け、そこにはいい感じの明かりも入り込んでくる。

 

私がベッドに寝そべり布団に潜り出すと、この遊びが始まる。娘は「いそげ、いそげ」と呟きながら、仲間達をかき集める。ぬいぐるみのミニオンマイメロちゃん、トトロ、ステラちゃんの4人だ。

 

彼らをひとりひとりテントの中に押し込み、最後に自分も入り込む。テントの薄暗がりの中で全員いることを確認すると、娘は「ふぅ~よかった~」と言って安堵の表情を浮かべる。

 

テント内では、しきりに私の表情を確認しニコニコする娘。この遊びの最中、私がどさくさに紛れてよく居眠りすることを知っているのだ。目をつぶる時間が少しでも長いと、「お~き~て」と娘に怒られる。

 

娘と寄り添いながら、星空を眺めるように上を向く。布団が透けて明かりが滲み、布団に描かれた模様が幻想的に浮かび上がってくる。

 

「うわぁ、きれ~」

 

娘は本当に素敵なリアクションをする。表情をみると、心底うっとりしているようだ。

 

この遊びをしていると、自分が小さい頃によく兄貴と似たような遊びをしていたことを思い出す。夜な夜な寝るときに並べた布団の上で、それぞれの掛け布団に包まり『宇宙船ごっこ』をしていたのだ。

 

布団の端を掴んで操縦桿にし、宇宙の海を進んでいく。そのときも薄暗い布団の中で、様々な風景を見ることができた。そしてそのときの思い出は、今でも蘇るたび心を少し暖かくしてくれるのだ。

 

時代は変われど、子どもの遊び方は案外似ているのかもしれない。

 

この思い出も、いつか彼女の『心の掛け布団』になればいいな。そんなことを思いながら、隣で嬉しそうに笑う娘の顔を見つめていた。