いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

痛いの痛いの飛んでいけ

娘は「痛いの痛いの飛んでいけ」使いだ。

 

何かを踏んずけたり、頭をぶつけたりすると、はじめは「いててっ」と控えめに痛がりもするのだが、すぐに「飛んでいけ」のことを思い出し、自らやりはじめる。

 

娘から「飛んでいけ」をされると、私と妻は大げさに痛がるようにしている。娘はそれを見ると楽しくなり大笑いする。そしてすっかり痛みは忘れてしまうのだった。(まさに「飛んでいけ」の効果だ)

 

昨夜も娘がオモチャに足をぶつけたのをキッカケに、その展開になった。

 

そしてあまりに楽しくなったのだろう。娘は「飛んでいけ」の向け先を、遂には自分にも向け始めたのである。

 

まずはいつもどおり私に向ける。

 

「いたいのいたいの~とんれけ~!」

 

私は空中を飛んでくる“痛み”をイメージして一瞬の間を開ける。そしてそれが私に命中すると「うぎゃ~」と言って、頭を抱え痛がってみせる。

 

次はママだ。娘はニヤリと笑い、ママに狙いを定めはじめる。

 

「とんれけ~!」

 

「きゃ~」ママも一瞬の間の後に痛々しい悲鳴を上げる。そしてバタリと倒れて見せるのだった。

 

もはや娘が「飛んでいけ」を向ける相手は誰一人残されていない。しかし、娘はふたたびその手を宙に振りかざすのであった。

 

「いたいのいたいの~」

 

そう、彼女は自らの痛みをその手に集め、ふたたび自らの身体に浴びせつけるつもりなのだ。

 

「とんれけ~!」

 

そう叫ぶと、娘は自分の胸にその手を振り下ろした。

 

そして、私たちの真似をしているのであろう、しばしの間をあける。

 

「あ"ぁ"~」

 

娘はこんな顔で宙を仰ぎ、痛がっていた。

f:id:pto6:20180904081235p:image

私たちはそのあまりの可愛さに、娘に何度もやってもらい、このやりとりを動画に収めた。

 

撮った動画は、すぐに父や母、妹にも共有し、みんなでその可愛さを堪能した。

 

今朝、台風が近づいているが、私はとりあえず出社している。正直あまり気は乗らないのだが、この動画を見てなんとか頑張ろうと思う。

 

この動画を見れば、それこそどんな痛みもツラさも鬱憤も、すぐにでも飛んでいってしまいそうだ。