いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

危機一髪

樽に息子が剣を突き刺す。

 

何も起こらない。彼は表情を緩めて両手を水平に広げる。せ〜ふ。この遊びの中で習得した言葉である。

 

次は私の番だと息子が急かす。私はガザの上に広げたカラフルな剣たちの中から適当に一本を選び、つまみ上げる。

 

樽に突き刺す。その刹那、樽の主人が勢いよく飛び上がる。思わず声を上げる。息子は体をこわばらせて息を飲んでいる。

 

こうして危機は去った。樽から四方に飛び出した剣を抜き取る。すると息子が「もういっかいしよ!」と提案してくる。これで今日何度目か。断ってもしつこいので大人しく受け入れ、樽の中央に主人の海賊を押し入れる。

 

妻の実家での生活は今日で3日目となった。古き良き時代のオモチャが沢山あるので、毎日楽しそうだ。中でも今は、黒ひげ危機一発がお気に入りみたい。