いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

ご近所トラブル未遂

昨夜、会社の飲み会から帰ると、いつものように娘が玄関で出迎えてくれた。

 

私が帰ってきたことで娘はテンションが上がり、その勢いで廊下を駆け回っていた。妻は家の片付けをしていたようで、玄関にはその際にでたゴミ袋が置かれていた。

 

外の気候もよく、娘も元気を持て余していたので、皆でゴミ出しに行くことにした。うちのマンションはゴミドラムがあるので、24時間いつでもゴミ出しOKなのだ。

 

私たちは靴を履き、それぞれにゴミを抱え、玄関を出た。そしてエレベータに向かおうとしたその時、ふいに、妻が後ろから女性に声をかけられた。

 

その女性は切迫した表情で、申し訳なさそうに妻と話しだした。私も近づいてみると、彼女はうちの真下の部屋の住人だった。入居のご挨拶に伺った際の記憶が蘇る。

 

曰く、頭が痛く就寝しようとしていたのだが、足音が気になり眠れなかったらしい。彼女は微笑む娘を見ながら、「まだこんなに小さいので仕方ないとは思うのですが」と、本当に申し訳なさそうに繰り返していた。

 

私と妻は血の気が引く思いがした。さっきの娘の駆けっこに違いない。私たちはただただひたすらに謝った。

 

それに対して相手も申し訳なさそうに、謝り返してくれていた。その場には居心地の悪い空気が流れた。しかし、当の本人である娘だけは、ニコニコと笑い、女性に対して「バイバーイ」と愛想を振る舞っていた。

 

その後、女性はお帰りになり、私たちは当初の予定通りゴミ捨てに行った。そして家に帰り、重苦しい表情をする妻と、先程の出来事を振り返り、話し合い始めた。

 

足音問題はマンションではつきものだ。うちのマンションは床の材質や構造的に下の階に響きにくい造りはしているものの、やはりあれだけ走れば下に響くのだろう。

 

そうであれば、今回だけでなく過去にも多々、音が響くことはあったはずだ。これまでのことも含め、先程の女性に対し、申し訳ない気持ちが再び込み上げてきた。

 

あの方がまだ親切な方で、勇気を持って直接言いに来てくれてよかった。管理人経由で通達されたりすると、こんなに素直に申し訳ない気持ちは抱けなかっただろう。

 

とにかく、少なくとも夜においては協力し合い、娘を走らせないよう注意を払おう、と妻とは意識を合わせた。

 

その後、少し大げさなまでにゆっくり歩くところを娘に見せ、面白がってもらい、真似をさせた。それが新鮮だったようで、娘は喜んでゆっくりと歩いてくれた。

 

しばらくはこの作戦で様子を見よう。そして夜は、できる限り娘を早く寝させよう。ご近所トラブルへと発展させない為にも、細心の注意を払っていきたい。