いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

どんな色が好き?

「どんないろ~がっき♪」

 

娘がメロディに乗せて聞いてきた。彼女の手元には16色のクレヨンがあり、それをこちらに見せてくる。

 

「赤」

「あかいいろ~がっき♪」

 

そう歌いながら娘は、赤いクレヨンをひょいとケースから取り出しマットレスの上に置く。あどけない滑舌で「す」の音が聞こえず、そのかわり強調される「き」は、音がふくよかで愛嬌に満ちている。

 

「いちばんさ~きになくなうよ~♪あかいくえよん♪」

 

最後まで歌いきると娘は再び最初から繰り返す。この歌はクレヨンの数だけリピートが可能なのだ。私は残ったクレヨンの中から別の色を選んでいった。それに従いケースから順番にクレヨンが取り出されていく。

 

10色くらいを歌い終わり、これを最後まで続けることを半ば覚悟した頃、娘が私に「ぜんぶ?」と小声で聞いてきた。そういえばこの歌にはそんな展開もあったのだ。私はその助け船に乗り、大団円のうち遂にエンディングを迎えたのであった。

 

そんな遊びを昨夜長いこと続けていたものだから、今朝目が覚めてからも頭の中ではこの歌が鳴り続けていた。

 

そういえば、娘が好きな色はどれなのだろうか。一番先に無くなるクレヨンがそれを教えてくれるに違いない。