いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

脱・男言葉

まいったことになりつつある。私のせいだ。

 

「うまっ!」

 

豆腐を口に入れ、娘が歓喜の表情で声を張り上げる。私の真似をしているのだ。先日つい娘の前で使ってしまったその言葉を、気に入ってしまったようなのである。その前までは「おいしい」と言ってくれていたのに。

 

今のご時世、男言葉も女言葉もないのだろう。もしかしたら、言い過ぎるとバッシングを受けるかもしれない。でも、いくら古くさいと言われたって、私は自分の娘には女性らしい言葉遣いをしてもらいたいと願っている。

 

他にも、娘はこんな男言葉を使う。

 

「いてっ!」

「なんだ!?」

 

これらも私がつい洩らしてしまった言葉たちだ。どれも反射的に出てしまうので仕方ないと言えばそれまでだが、娘へ与えた影響を鑑みれば反省してしかるべきことだろう。妻も娘がそれらの言葉を口にするたび、私に白い視線を送ってくる。

 

娘の為にも、なんとか修正していかねば。ただ、娘も徐々にそれがあまり好ましくない表現だということはわかってきたようだが、それ故に、面白おかしくワザと使うようにもなってきている。私も使っている手前、強く叱ることはできないし、少し困ったことになっている。

 

まぁ、娘が女子高生くらいになったら、いや、きっともっと早い段階で、娘も流行りの若者言葉に染まり、私の愛する言葉遣いからはいずれ遠ざかっていくのだろう。

 

でも、咄嗟に出てくる言葉たちは、なんだかんだで幼少期から培われてきたものだったりする。そして、そのような思わずこぼれる“素の言葉”にこそ、私はその人の育ちの良さを感じ、思わずきゅんとしてしまうのである。

 

誰しもが私のような価値観でないことは百も承知なのだが、それでも私は、娘の“素の言葉”をできるだけ美しく築き上げてあげたいと思っている。

 

そのためにも、私の言葉遣いを矯正していかなければ。

 

「美味しいっ!」まずはそこから始めよう。