昨日は数時間をベランダで過ごした。
前日に敷き詰めたウッドタイルの横に、テントを立てたのだ。そこにご飯やお菓子を並べ、昼食をとった。
コンビニで買った、普段食べ慣れたものたちであったのだが、太陽の光と風にふれあいながらに食べるそれは、いつも以上に美味しく感じられた。
食事をいち早く済ませた私は、敷き詰めたウッドタイルの上にごろんと横たわった。屋根の隙間から漏れる太陽光を全身で浴びる。リビングからもってきたクッションを枕にし、タオルケットをお腹にかけていた。
しばらくすると、ご飯を食べ終えた娘が退屈そうに部屋へと戻っていった。大人達がごろごろとばかりしているからだろう。私は風が強くなってきたので、妻のいるテントへと入り、そこでふたたび横になった。
体温の高い妻に背をくっつけ、頭の上に置いたスピーカーでフォークソングを流しながら、私はまどろみの中に包まれていった。これ以上ないほど至福の時間だった。
植物と同じで、私にも『葉緑体』があるのではないだろうか。だからこそ太陽の光を浴びるだけで、こんなにも幸せな気持ちになるのだろう。
以前してくれた妻の話では、太陽光を浴びると“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンが多く分泌されるとのことだった。きっとそれも大きく関係があるのだろう。
意識の境界を彷徨っている最中、しびれを切らした娘がベランダに顔を出した。どうやら家の中で一人なのが寂しいらしい。私は妻と顔を見合わせ、重い腰を上げた。
天気の良い日はまたベランダに出て、太陽を浴びよう。