いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

たんこぶ

昨夜は娘が柱に頭をぶつけた。その結果、痛々しいたんこぶが額にできてしまった。

 

場面はお風呂上がりのリビング。おむつを履かせた直後、娘はいつものように、服を着させようとする私から逃げ回っていた。

 

悲劇が起きたのは一瞬だった。床に散乱していたぬいぐるみで足を滑らせた娘は、走っていた勢いのまま、頭からリビングの柱にぶつかったのだ。

 

娘は瞬間的な沈黙の後、悲痛なる叫び声を上げた。目からは大量の涙が溢れ、娘は床に崩れ落ちた。私は慌てて彼女の元へと駆けつけ、注意深く抱きかかえた。

 

しばらく抱っこしてあげていると、娘はなんとか泣き止んでくれた。おそるおそる額を確認してみると、そこにはうっすらとした内出血の跡と、視認できるほどに隆起したたんこぶができていた。流血をしていないことにはひと安心したが、そのたんこぶは見るからに痛々しかった。

 

その後、妻とも協力しながら服を着させ、おっぱいを与えながら額に氷を当てた。以前まぶたの上を切った以来となる娘のケガだったで、妻も私も動揺してしまった。

 

今回はたんこぶで済んだが、幸せな日常はこんな風に一瞬で崩れ得るものなのかもしれない。そんな恐怖が心の中に芽生えた。

 

今回の件で反省することは多分にある。床におもちゃが散らかったままの状態にしていたこと。娘が逃げ回ることを強く注意しなかったこと・・・。当然、過去に戻れるようならそんなことは決してしない。しかし過去に戻れない以上、この反省は今後に活かしていく他ないのだ。


一夜明け、幸いなことに今朝の娘はいつもと変わらず元気だった。額のたんこぶも少しばかり小さくなっていた。

 

私は胸を撫で下ろした。とりあえずは、とりかえしのつかない事態にはならなくてすみそうだ。

 

最近の娘の有り余る元気と行動力には、妻も私も手をやかされている。そして、いつかケガをしないかとびくびくしていた。そんな矢先での昨夜の出来事だったので、すっかり肝を冷やしてしまった。

 

きっとたんこぶが小さくなるにつれ、今回抱いた恐怖心も徐々にしぼんでいってしまうであろう。そしてそれが完全に消え去ってしまっては、再び悲劇が繰り返されてしまうかも知れない。

 

そうならないよう、恐怖心にはいつまでも私たちを見張っていてもらいたいと思う。

 

それこそ“目の上のたんこぶ”と思えるくらい、何をするにも頭を過ぎる、そんな存在で居てもらわなくては。