いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

見習いパイロットの失態

昨日は会社でひとつ失敗をやらかしてしまった。やはり連休ボケがまだ抜けきれていないらしい。

 

その失敗は、会社ビルのエレベータの中で起きた。

 

私はエレベータで操作パネルの前に立つ際は、大型旅客機のパイロットのような心境でボタンと対峙している。

 

自分の操作誤りで、同乗する者たちに不愉快な思いはさせるまい。そんな信念を纏った私が最も気を付けている場面は、「閉ボタン」を押すあの張りつめたシーンだ。

 

同じ矜持を持つ者であればご存じであろうが、あの「閉ボタン」を押す所作には操作者のセンスが如実に出る。

 

優柔不断により押すのが遅すぎると、他の乗り組み員たちの苛立ちを買うし、タイミングが早すぎて、乗ろうとする人が扉を跨いでいる最中に押してしまうと、センサが作動し自動的に扉が全開になってしまう。

 

その開き直す扉のもっさりとした動作たるや・・・。

 

昨日の昼食帰り、私は会社エレベータでパイロット役を担った。そこであろうことか「閉ボタン」を早く押しすぎてしまうという、致命的ミスを犯してしまったのだ。

 

死角から飛び乗る乗客に気付くまではよかったが、コンマ数秒、ボタンを押すのが早かった。むなしくもセンサが感知し、私の失態を白日の下に晒すかのように、閉じかかった扉がゆっくりと開いた。

 

そのせいで約3秒のロスタイムが発生した。これはライセンス剥奪にも値する、操作者である私の過失だ。

 

連休ボケという言い訳は通用しないシビアな世界だ。謙虚に受け止め、見習いから出直すつもりで精進したい。

 

とりあえず昨日は、帰ってから自宅マンションのエレベータで、ひとりボタン押しの素振りに汗を流した。

 

人前でまた操作するのには半年程かかるだろうか。再び最高のタイミングでボタンを押せるよう努力したい。