大型連休とは一体なんなのだろうか。その手口は、思わせぶりな態度をとる魔性の女のようだ。
「これからはいつまでも貴方と一緒よ」というような顔で近寄ってきて、さんざん期待を煽りその気にさせるくせに、時間が経てば躊躇いもなく立ち去ってしまう。
その去り際もスマートで、「また来年」と後腐れのない言葉だけを置き残し、こちらには駄々をこねる隙すら与えてくれない。実に手慣れていて、鮮やかだ。
それゆえにやられた方も、気づけばまた連休が近づいてくることを心待ちにしてしまう。同じ失望を味わわされることを知りつつも、何度だってそれを求めてしまうのだ。人が恋することを止められないのと同じように。
そのひとときの煌めきを味わうために。
忘れられない思い出たちを手に入れるために。
そんなわけで、うたかたの連休から目覚めた私は、今日から仕事に戻ることとなった。
思い出たちが精一杯、私の背中を押してくれている。
次に思わせぶりな彼女が近づいてくるのはいつだろうか。去年の約束を思い返せば、きっと夏頃に違いない。