いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

はじめての梨狩り

昨日は家族3人で梨狩りに行ってきた。

 

受付をすませ、ビニールハウスの中に入ると、モワンとした熱気に包まれた。辺りに他の客は見あたらず、広大な敷地内は私たちの貸切状態だった。(暑いしね・・)

 

目の高さに梨がなっているので、ぶつからないよう頭を下げて歩く。園内には梨の他に葡萄も育てられていた。

 

敷地の真ん中あたりで係員さんの説明を受ける。どうやら黄色いものが糖度が高く、狙い目らしい。私たちは梨のもぎり方を教わり、さっそく梨狩りを開始した。

 

とはいえ、あまりに多く梨がなっているのでどれを取ろうかと迷う。私たちがそのように上を眺めて彷徨っているうちに、背の低い娘はのしのしと先へと進んでいく。

 

足元ではカエルがぴょんぴょんと飛んでおり、いつしか彼女はそれを追うのに夢中になっていた。もはや梨狩りではなく、カエル狩りだ。

 

蒸し暑かったが、木漏れ日が陰影を落とす樹園の中を歩くのは少しワクワクした気持ちになった。私は娘を追いかけながらも梨を探し、たまに立ち止まっては辺りを見回し、その非日常感漂う光景に満足感を募らせていた。

 

あまりにカエルばかりを追う娘に、少しは梨を探すよう注意した。すると娘は宙を見上げ、目に付いた梨を指差すと、「これ、とる」と即決した。

 

抱っこしてあげると娘は両手で梨を掴み、強引に引っ張ろうとする。私は慌てて手を貸し、レクチャーされた通りに梨のお尻をまっすぐに持ち上げる。すると枝がポキリと折れ、簡単に梨がもげた。

 

娘は「とれた!」と喜びの声を上げた。しかし妻が採集用のカゴを差し出すと、そこにどかっと放り投げる。キズが付いたのではと私たちはドキリとした。終始そのような調子で、私たちは合計5つの梨をとっていった。

 

自分たちが取った梨を並べてみると、思ったよりも青いものが多く、いくつかキズも付いていた。同じ値段ならプロが取ったものの方が美味しかったに違いない。でも、自分で取ったという思い出が、何より大事なのだ。

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その後は隣接したカフェで昼食とスイーツを食べ、外にあった小さなプールでしばし水遊びをした。娘は楽しそうにはしゃいでおり、帰りの車では熟睡していた。

 

家に帰って梨を剥いてみた。娘のとった少し青い、カゴに落とした拍子にキズが付いたものだ。ひと齧りして驚きの感動に包まれる。瑞々しくて、ものすごく甘い。

 

なんだ、青くてもめちゃくちゃ美味いじゃないか。もぎたての夏の思い出を、まずはひとつ手に入れた。