いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

失くしもの

シルバニアファミリーの拡張セットが我が家に増えた。

 

昨日、クリスマスプレゼントの下見がてらオモチャ屋さんに行った際に、妻が娘に買ってあげたようだ。食卓や椅子と共に、コップやお皿、フォークやスプーン、その上に乗せる様々な食べ物たちが入っていた。

 

娘は嬉々として遊んでいた。妻も一緒になって食事を並べる。私は細々した作業が苦手なので(不器用)、その様子を離れて座って見ていた。思ったことはこうだ。

 

「あんなに小さな部品、すぐ失くなっちゃいそうだな」

 

案の定、今朝さっそくそのような未遂事案が起こる。背の低いオモチャ棚の上で、娘が人形たちを並べ食事ゴッコをしていると、つまみ損ねたピザの切れ端が、指に弾かれて棚の後ろへと落ちてしまったのである。

 

私と娘は同時に「あぁあ〜!」と叫んだ。しかし覆水盆に返らず。叫んだだけでピザは食卓へと戻ってこない。私は棚をずらしてその背面に手を突っ込むことにした。

 

すると、落ちたピザの横に、いつからか見かけなくなっていた、かつての娘のお気に入り本があったのである。

 

「あぁあ〜!」ふたたび二人で叫んだ。

 

ただ、こんどの叫び声には明るさが灯っていた。私たちは顔を見合わせ、ピザよりも先にまずはその本を引っ張り出した。娘はすぐにパラパラと捲りはじめ、懐かしさに心躍らせているような表情を浮かべていた。

 

私はピザの切れ端を摘み上げ、そっと小さな食卓へと戻した。しかし娘は相変わらず本に夢中になっていた。

 

わかる。久々に読み返す本は面白いよね。小さな部品のおかげで、無くし物がたくさん見つかりそうな予感だ。