いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

懐かしの香りに包まれて

昨日はひさかたぶりに香水をつけた。

 

妻が出掛ける前に、「以前はつけてくれていたのに…」と苦言めいた言葉をもらしたからだ。たしかに二人時代のデートではしばしばつけていた。ただ、娘が生まれてからというもの、控えるようになっていたのだ。

 

いちおう申し上げておくと、私は香水が似合うような洒落た男ではない。ただ大学時代の親しい友人が香水にとても詳しく、当時いろいろと教えてもらったことで、香水に興味をもった時期があったのだ。(ほんの一時期)

 

当時愛用していた香水は、ヴァンクリの『ミッドナイトインパリ』だった。棚にはまだそれが保管されていた。
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そんなわけで昨日は、妻から暗に「最近のデートは手抜きだ」と言われてしまったことを受け、久しぶりに香水をふりかけ出掛けることにした。とは言え、あまり強い匂いは発したくないので、お腹の辺りにワンプッシュ。

 

セータの首元から仄かに甘い香りが立ちのぼる。久しぶりの匂いで、懐かしさに包まれた。このほのかな香りを嗅いでいると、妻との恋人時代が思い浮かんでくる。

 

そんな香りに身を包みながら、昨日は中之島のイルミネーションを見に行った。河川沿いの街路樹には数多の電飾が灯り、街のシンボルである中央公会堂にはプロジェクションマッピングが投影された。

 

眼前で展開される色彩豊かな光のアートに、娘は目を輝かせていた。私は彼女を抱きかかえながら、その瞳に映る色鮮やかな変化を愉しんだ。

 

ただ、昨日のハイライトといえばその前の時間だろう。中之島近辺に到着すると、娘がベビーカーの中で昼寝に入った。そこで私と妻は近くのカフェにはいり(妻が見つけてくれた)、おやつを食べることにしたのだ。

 

そこでカプチーノやケーキを味わいながら、ふたりで小1時間おしゃべりをした。昔のことから、将来のことまで。娘が起きてくるまでその会話は止まらなかった。こんなにじっくりとふたりで話したのは久しぶりだった。

 

首元から薫る甘い香水の匂いが、しばし私たちを恋人時代へと引き戻してくれたのかもしれない。なあんて。