いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

今日は何の日

「明日はチョコをたくさん食べれる日〜♪」

 

昨夜妻がご機嫌に歌っていた。違和感を覚え、そんな日だったっけ?と妻に笑いながら尋ねてみた。するとご丁寧に妻は言い換えて歌った。

 

「明日はパパにあげたチョコを、パパが私にくれて、チョコをたくさん食べれる日〜♪」

 

どうやら私がバレンタインという日の趣旨を勘違いしていたようだ。その証拠に、今朝起きると、娘も開口一番にこんなことを言ってきた。

 

「パパ、ばれんたいんのチョコ、たべよ?」

 

私はまだチョコを貰っていないのにである。そういえば数日前、妻と買い物に行った娘が、帰ってくるなり私に紙袋を渡そうとしていた。

 

「これ、ばれんたいんのとき、あげるからね」

 

娘の中ではその時にもう渡していることになっているのかも。チョコ好きの妻の影響で、娘もすっかりバレンタインを勘違いしているようだ。いや、やはり勘違いしているのは私なのか?

 

そんな釈然としない気持ちを抱いていたが、昼食終わりに、妻と娘が手作りチョコを作り始めた。それが終わり、冷蔵庫で冷やしている間、買ってきた方のチョコが正式に渡された。

 

「これはママが食べたいチョコ」

「このあかいのは、わたしだからね」

 

ふたりともさっそく忠告を言い添えてくる。私は不器用な手付きで「箱を開ける」役目を果たし、形式上ひとつめのチョコを率先して口に入れた。その後は、女性陣の手が絶え間なく伸びてきて、私は諦めて息子を抱き抱えに行った。

 

夕食後には妻と娘がつくった手作りチョコを食べた。感性豊かな娘によりトッピングが施されたそのチョコは、とても甘く、美味しかった。

 

ともあれ、確かにたくさんのチョコを食べた一日であった。部屋中が甘い匂いに満ちている。