いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

親として半人前

子供を怒ると、その後で毎回へこむ。

 

「叱って」いるのだと言いたいところだが、正直なところ感情のままに「怒って」もいる。親として、まだまだ半人前だと言わざるを得ない。

 

四歳の娘にはイライラさせられることも増えてきた。話ができて理解もできるレベルになったからこそ、意に反する言動をとられると頭にきてしまう。

 

さきほども、風邪気味であるくせに、言いつけを守らず、お風呂前に裸でぶらぶらとしていたので雷を落とした。安静にしていればすぐに治るレベルの風邪を、いたずらに長引かせようとする行動に怒りを感じたからだ。

 

これまでにないほどの大声で叱った。娘はめずらしく萎縮して、涙も引っ込み、居心地の悪い表情を浮かべて固まっていた。私はしかめっ面のまま娘を風呂にいれ、無言のままに髪を乾かした。

 

お茶を飲ませ、歯磨きをすませると、上着を着せて寝室へと娘を連れて行った。その頃には私の怒りもほどほどに収まり、いつもながらの後味の悪い感情が胸の内側でどんよりと渦巻いていた。

 

寝室の電気を消し、保安灯をつけた状態で娘を抱きしめる。大声を出したことを謝ると、娘は緊張が解けたのか小さく声を上げて泣いた。娘が落ち着いたところで目を見つめて、なぜパパが怒ったのか、何がいけなかったのかを改めて娘に伝えた。

 

娘は素直に聞き入れてくれて、もうしないと反省を口にした。怒ったあとに優しくして懐柔しようとする手法に、我ながら「まるでDV野郎じゃないか」と嫌気がさす。それでも悪いと思ったことは謝りたいし、娘にも理解した上でしっかり反省してほしい。

 

そのように娘と和解をした後にも、やっぱり嫌な後味はずっと残っていた。できれば大好きな子供を叱りたくはない。いっそのこと目をつぶってしまおうか、と頭を過るあたりも、私が半人前である証だ。