いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

部屋をかける少女

娘はかけっこが好きなようだ。

 

おそらくは私たちが「足が速いねえ」とたびたび褒めたことから好きになったのだろう。現に、娘の足は速い。

 

そんなわけで昨日も娘は、家の中で私とかけっこ競争をしたがっていた。寝室の端っこに立ち、そこからベッドにダイブするまでの速さを競う。超・短距離走だ。

 

妻が「よーい・どん」と言い、私たちふたりが走る。基本的に私は負けてあげて、娘を愉快な気持ちにさせる。妻は変則的に「よーい・どん」を繰り出し、その流れで娘にフライングというルールについても教えてあげた。

 

娘はとにかく「勝つ」のが楽しいようで、何度も何度も勝負を挑んできた。たまに私も本気を出して娘を負かすと、負けず嫌いの娘は、まだ自分は3回も多く勝っている等と主張し、その後に再び勝負に誘うのであった。

 

私たちは娘が勝つたびに「どうしてそんなに速いの?」と驚き入る様子で訊ねていた。すると娘はこう応えた。

 

「このまえ、おにく、ぜんぶたべたから!」

 

これは妻の教育によるものである。お肉などのタンパク質を娘に食べさせる際に、よくそのように言い聞かせているのだ。「お肉を食べると足が速くなるよ」と。

 

ちなみにお野菜だと「風邪をひかなくなるよ」だし、ご飯だと「身体が大きくなるよ」と伝えている。言い聞かせというのは、多少なりとも効果があるみたいだ。