いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

液体と固体と肉体

浴槽の中の息子が、研究者の表情を浮かべている。

 

彼は先程から何度も繰り返し同じ行動をとっている。お湯をパチャパチャとはじき、その後同じようにバスタブの側面をバンバンと叩くのだ。

 

手を押し返す抵抗の違いを興味深く思っているのだろう。もしかしたら、この透明なふにゃふにゃしたものと、この白くてツルツルしたものは、性質の違うものなのではないか。息子は自らの実験を繰り返し、そんな真相に近づきつつあるように思えた。

 

妙に真剣な息子の表情が面白かった。私は彼を支えながら、彼の実験に辛抱づよく付き合っていた。

 

すると今度は、その手で自分の身体にも触り始めた。パチャパチャ、バシバシ、そしてペタペタ。

 

これはお湯よりもバスタブの触感に近いが、それでもどこか違う。暖かいし、少し弾力がある。硬さをもつもののグループではあると思われるが、その中でも様々な種類があるのかもしれない。

 

流石にそんなところまでは、息子は考えていないだろうが、それでも三者三様の触感の違いに、息子は終始、不思議そうな表情を浮かべていた。

 

面白いな。純粋な息子の目を通じて、改めて私も世の中に溢れる不思議さを実感させてもらっている。