いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

入浴剤とだるまさんが転んだ

振り向くと、娘と息子が両手を広げて静止した。

 

口元はニタニタと笑っている。前方に向き直り、呪文を唱えたのちに再び振り向く。ふたりとの距離が近づいている。息子はキャハッと笑いジタバタとし始めたが、彼はルール無用なので見なかったことにする。

 

だるまさんがころんだに興じていた。こじんまりとしたモールの野外スペースで、である。空はいい感じに黄昏ていて、振り返るたびに子供らのバックにそれが見えて、心が和んだ。

 

電車で二駅のモールにショッピングに来ていた。しかしこれといった収穫はなし。それでもサイゼリアで昼食を取り、ゴンチャでタピオカミルクティを飲み、夕飯にはスシローのテイクアウトを買った。

 

途中、妻がショッピングをする際は、私と娘が退屈してしまうので別行動をとり、しばしふたりきりでデートをした。娘の気の向くままに歩道橋を歩き、面白ろエレベーターに乗ってはふたりで爆笑した。これまた大したことはしていないが、歩くときには手を繋ぎ、穏やかなひとときであった。

 

家に帰って寿司を平らげると、お風呂を沸かしてみんなで入った。娘の提案で入浴剤をいれる。最近週末の恒例になりつつあるのだ。今日娘が引いたのは青い小袋だった。スースーとした鼻通りよいミントの香りが浴室を徐々に包み込んでいった。

 

皆で青いお湯に浸りながら、家族に馴染みある曲達を流した。ここでも何を話したでもないが、あたたかな充足感とミントの香りが火照った身体に残っていた。

 

総じていい日だった。スナップショットの光景が次々と蘇る。心のシャッターが多く切られた証拠である。