いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

はじめてのソフトクリーム

公園で遊んでいると、パラパラと雨が降ってきた。

 

しっとりと髪を湿らす程度の雨だ。私たちは娘を抱っこし、公園を後にした。そして雨宿りも兼ねて、近くのマクドナルドに入ることにした。

 

昼食を食べ終わると、デザートとしてソフトクリームを買った。娘は「あいすだぁ!」と喜びの声をあげたが、その形状には少し戸惑いの表情を浮かべていた。

 

妻にも確認してみたが、思えば、ソフトクリームを娘に食べさせるのはこれが初めてのことだった。スプーンで食べさせるアイスの方は、娘の大好物にも関わらず。

 

まずは私が一口食べて見せた。クリームの上部がごっそりと無くなる。それを見た娘は要領を得たように頷いた。そこで娘の顔の前にソフトクリームを持っていく。

 

娘は私の真似をし、口を大きく開けてクリームを食べようとした。しかし口の大きさが足りないことで標的を捉えられず、わずかにクリームが唇についただけだった。

 

これは案外むずかしいかもしれない。そこで私は、娘に別の食べ方も提示してみることにした。

 

舌でべろんっとクリームを舐める食べ方だ。今度も娘はしっかりと観察し、なるほど、という顔で頷いていた。

 

また娘の前に持って行く。すると娘は大きな口をあけ、精一杯べろを出した。そしておそるおそるクリームへと近づけていき、先端がクリームにふれると、顔を上に持ち上げ、首の動きでクリームをかすめ取った。

 

舌に乗った量はさほどでもなかったが、今度はしっかりとクリームが口に入った。娘はしばし咀嚼し、味が広がると笑顔の花を咲かせた。「あいす、おいしー」。

 

その後も口を開け、舌を出し、クリームに当てると、首の動きでかすめとる、といった動作で娘は食べ続けた。

 

端から見るととてもぎこちない動きなのだが、本人はそのサイクルに手応えを感じているようだ。私も少し加勢し、ソフトクリームはみるみるうちに減っていった。

 

最後はふたりでコーンをばりばりと齧り、綺麗に食べきった。ふぅ~と満足げに一息ついた娘は、ごちそうさまでしたと手を合わせた。すこぶる機嫌が良いようだ。

 

子供の初体験に立ち合うのは、いつだって面白い。

 

まだまだこの世の中には、娘の食べたことのないものがたくさん溢れている。それぞれに対し、どんな食べ方をし、どんな反応をするのだろうか。楽しみで仕方ない。