いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

笹舟燈籠

昨夜は七夕イベントに参加してきた。

 

画用紙で笹舟をつくり、その上に燈籠を乗せて池に浮かべる。梅田スカイビルが主催する無料イベントだ。

 

会場につくと、たくさんの人が列に並んでいた。急いで並ぼうとしたが、それは燈籠を浮かべる為の列で、まずは笹舟をもらいにいく必要があるらしい。指示された場所へと行ってみると、そこにも長い列ができていた。

 

並ぶこと数十分。その間、妻には娘を連れて縁日を見たり、短冊を書いたりして過ごしてもらい、ようやく笹舟用の画用紙を手に入れることができた。それをもって燈籠流しの列へと戻る。今度は妻が列に並び、順番が来るまで、私は娘と一緒に辺りを探索しに行くことにした。

 

外では、いつのまにかジャズバンドの演奏がはじまっており、会場にはムーディな空気が漂っていた。私は歩きたがる娘が赴くままに、綺麗に整備された内庭の自然の中を、音楽に合わせて気持ちよく歩いた。

 

しばらくすると、妻から連絡がきた。なにやら笹舟に願い事を書き込めるらしい。私は娘を連れて妻の元へと戻った。妻が並んでいる列の横にはテーブルがあり、そこに何色かの色鉛筆が置かれていた。

 

私は娘を連れてそのテーブルへと向かった。笹舟は妻が全員分つくってくれていた。娘の赤い笹舟には、娘と一緒にアンパンマンの顔を描いた。アンパンマンに会えますように、そう願いを込めた。

 

私の青い笹舟には控えめな字で「文豪」と書いた。漢字に自信がなかったので、念のためスマホで確認をしながら。よかった、これでなんとか文豪にはなれそうだ。

 

妻と並ぶのを代わり、妻もねがいごとを書きに行った。なんて書いたのかは知らない。が、きっと真面目なおねがいに違いない。もうすぐ私たちの順番がきそうだったので、そのまま3人で列に並んでおくことにした。

 

列の脇でラムネを売っていたので思わず買った。瓶にビー玉が入っているタイプのラムネだ。お祭りのときにはついつい飲みたくなってしまう。娘は初めてラムネを飲むので、そのシュワシュワにとても驚いていた。

 

燈籠を受け取る順番がきた。係の人が私たちの笹舟に注意深く燈籠を乗せてくれる。私たちはそれらを慎重に運び、写真をとりながら池の上に浮かべていった。
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娘はいまいちその行為の楽しさを理解できていないようだったが、妻はロマンチックな火の光に、うっとりとした表情を浮かべていた。

 

その後は、3人で辺りを散策した。相変わらず、ジャズバンドが雰囲気作りに一役買っており、ただ歩いているだけでも心が弾んだ。

 

目的も果たし、もう帰ろうかとも思っていたが、娘がもう1本ラムネを飲みたいと言ってきた。そこで再び会場へと戻り、どこかに座って生演奏を聴くことにした。

 

私たちはステージ近くの池の縁に腰掛けた。娘は買ってきた2本目のラムネを持って、そのシュワシュワに身を震わせながら、嬉しそうに飲んでいる。妻はバンドを楽しそうにみつめ、そのグルーヴに身を委ねていた。

 

ジャジーな奏でにのって、肌を撫でる夜風も心なしか軽やかだった。口の中で弾けるラムネの微炭酸が、爽やかに喉を潤していく。気持ちよくなった私は、無意識のうちに、ガラにもなく夜空の星を見上げていた。