世界ひろしといえど、
「ぱぱ、もういっかいっ!」
ティッシュ2枚でここまではしゃげるのは、娘くらいではないか。そんなことを、ふと思った。ただすぐに違う考えも浮かぶ。案外、どこの家庭においても、同じようなことをして遊んでいるのかも。
私は娘から2枚のティッシュを受け取り、再びベッドの上で中腰になった。腕を伸ばし、両手に持ったティッシュをできるだけ高い位置へと持っていく。その様子を、娘はわくわくするような目で見つめている。
私は少し勢いをつけて、片方のティッシュを前方に放った。ふわりと宙に舞うティッシュが、奇妙な曲線を描きながらに下降していく。娘は多少足をばたつかせながらも、それを必死に目で追いかける。ついには、目の前を横切ろうとしたティッシュを、娘が両手で捕まえた。
「つかまえたぁ!」
それを見るや否や、私は間髪入れずにもう一方のティッシュも放る。ふたたび対象が宙に舞ったことに気がつくと、娘も慌ててそれを追う。一瞬見失い、身体を一回転させそうになりながらも、なんとか目の端で捉え、床に落ちる寸でのところでキャッチした。
「こっちもとったぁ!」
そんな遊びを、昨夜私たちは何度も繰り返していた。娘は満面の笑みを浮かべ、大きな高笑いをしていた。
世界ひろしといえど、ティッシュ2枚でここまで幸せな気持ちになれる大人は、私くらいではないだろうか。