いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

ママ友のLINEグループ

プレ幼稚園に通うママ友達のLINEグループができた。

 

そんな話を妻から聞いた。仕事後に梅田で待ち合わせ、百貨店の食事処でソバを啜っていたときのことだ。

 

幼稚園も夏休みに入るし、子供同士で遊ばせる機会が欲しい、と前に妻が話していたので、私はよかったねと言った。しかし、妻はどこか浮かない表情をしている。

 

不思議に思っていると、一緒にLINE交換をしたメンバの中で、ひとりだけグループに招待されていないママがいると言うのだ。急に、話に薄暗い影が差してきた。

 

まずはそれが意図的なのか、ただのうっかりなのか。そして意図的だった場合は、善意からか、悪意からか。

 

「なんだか、ドキドキしてきた」

 

先の展開までを想像し、妻が憂鬱そうに呟く。妻がどんなことを考えているのかが、私にも徐々に掴めてきた。

 

家に帰ると、妻がアクションをとった。とりあえず、グループをつくったママさんに、個別で連絡をしてみたと言うのだ。もやもやしたままだと気持ち悪いし、唯一招待されていないママとも仲がいいので、今後のことも考えて、まずは素直に提案してみたとのことだった。

 

悩んだ結果、正しいと思う行動をとった妻は立派だと思った。さらにはそれを個別連絡で行ったところにも配慮が感じられ、これで仮に話がこじれたとしても、妻は何も恥じるべきところはないだろう、と私は思った。

 

いくつかの連絡を交わし、妻は全容を掴めたようだ。ひとりだけ招待していなかったのは「意図的」、ただそれは「悪意」からではなく、筋の通った理由があった。

 

私は自分の理解のためにも、妻に登場人物たちの相関図を書いてもらった。妻は可愛いイラストつきで、それぞれのメンバの関係性と、親や子供たちの特徴を羅列していった。とてもわかりやすくまとまっており、まとめ方にはセンスを感じた。

 

そしてそのように整理してみると、グループをつくったママさんの言い分も理解できた。招待されていないママからは、妻にしか仲良しの線が延びていないのである。この図だけをみると、このグループの中に彼女を入れる方が不自然にさえ思えた。

 

その旨を私からも伝えると、妻も納得できたようだった。結局は自分の提案を取り下げ、その後はグループチャットの中で、遊びに行く日程等を話し合っていた。

 

グループに入っていないママさんとは、また別で連絡をとりあって、個別で遊びに行くのだそうだ。

 

女社会は大変だ。妻を見ていて、改めてそう感じた。

 

家庭に入り、一度はそんな世界から離れていた妻だったが、娘をプレ幼稚園に通わせ始めたことで、再びその世界へと入らざるを得なくなった。妻は性格的にも能力的にも、上手くやっていけるタイプなので心配はしていないが、神経を使い疲れることには変わりないだろう。

 

あぁ、自分は男でよかった。

 

なんて、他人事のようにつぶやいてはいたのだが、妻がこれから対峙するママ社会を想像すると、私でさえ少し憂鬱な気分になった。妻よ、頑張れ。無理はするなよ。