いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

きみを膝にのせ本を読む

昨日は午後から半休を取った。

 

妻の人間ドッグがあったからだ。事前に一番忙しい水曜日だけはやめてほしいと伝えていたはずなのに、その曜日に予約をしてきた妻。曰く、この日を逃すと11月まで空きがなかったとのことだ。

 

仕方がない。私はそれに向けなんとか諸々の調整を行い、自身が重要な役を担う水曜午後の年休を取得した。やってみると、なんとかなるものだ。

 

そんなわけで、昼過ぎに駅で妻と娘と合流した。妻をクリニックに送り届けた後は、娘と二人っきりで梅田へと出かけた。目指すは娘が大好きなオモチャ屋さんだ。

 

娘は案の定、オモチャが溢れる広い空間に大はしゃぎしていた。妻のドックは2、3時間はかかるだろうし、私は娘に好きなだけ試用のオモチャで遊ばせていた。

 

1時間後くらいだろうか、娘が別の場所に行きたいと申し出てきた。少し疲れてしまったのだろう。妻からの引き継ぎによると、早起きのせいで眠たいはずだということであった。また昼食のときも居眠りしていて、あまりご飯を食べていないとも聞いていた。

 

そこで私は、娘の大好きなドーナツを食べに行こうかと提案した。娘はドーナツというワードに目を輝かせ、意気揚々と賛同してくれた。

 

私たちは目指していたカフェに着いた。しかし私の記憶違いでそこはワッフルのお店だった。でもその向かいのお店に豆腐ドーナツというものが売られていた。店員さんに聞くと、店の中にはカフェスペースがあり、そこに座って食べることもできるらしい。

 

私たちはさっそく中に入り、2種類のドーナツとスムージーを注文した。バーカウンターのような席に娘と横並びで座る。すぐにドーナツらが運ばれてきた。

 

娘は自分のいちごドーナツを嬉しそうに頬張った。しかし半分くらいを食べたあたりで、私に抱っこしてと言いもたれかかってきた。言われるままにして私もドーナツを食べていると、いつの間にか、娘はその体勢のまま眠ってしまっていた。

 

オモチャ屋さんではしゃぎすぎたのもあるだろう。私は娘が座っていた椅子と自分の太ももを使って、寝やすいよう体勢を整えてあげた。そして彼女が起きるまでここに居座らせてもらおうと、鞄から文庫本を取り出した。

 

せっかくのデートなのに、途中から娘が寝てしまった。しかし彼女を膝に乗せ、オシャレなカフェでスムージー片手に本を読むというのも、なかなかオツなことだなぁと思い始めてきた。

 

私は手にした小説の主人公に感化され、ハードボイルドな気分になりながら娘の頭を撫でた。連休明けの憂鬱な週の真ん中で、陽だまりのような暖かさを感じていた。