いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

anone

「あのね」の数は興奮のバロメータだ。

 

娘の話である。彼女は興奮すると、おもしろいくらいに「あのね」を連呼する。昨日、私が会社から帰ってきたときもそうであった。娘が駆け寄ってきて口を開く。

 

「あのね、あのね、きょうね、あのね、○○ちゃんとね、あのね、あのねえ、あのお、おうちでね、あのね、あの、あそぼうっていったの!あとね、あのね・・・」

 

興奮で言葉が追いつかないのだ。思考の間を埋めるため、口が「あのね」を繰り返す。その間は視線が泳ぎ、脳をがんばって回転させているんだなあとわかる。

 

良い感じに相槌を打ちながら聞いていると、なんとか最後まで言い終えた。私が笑顔で「そうなんだ、よかったね」と言うと、娘は伝わったことを喜ぶように「うん、そうなの」と言って満面の笑みを見せてくれた。

 

妻の話によると、娘は私が帰ってくると明らかにテンションが上がるらしい。嬉々として、私がいなかった時の話をつまびらかに教えてくれようとするのだった。

 

嬉しいなあ。いつも思う。自分も親に対して興奮気味に何かを伝えようとしていた時期があったのだろうか。

 

覚えていないがあったのだろう。きっと今の私と同様に、嬉しい思い出として心に残っているに違いない。