いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

夜ひとりで寝る刑

娘が寝る前に大泣きした。嗚咽混じりの本気のやつだ。

 

ふざけて夕飯を食べるのに3時間もかかったことを反省させようと、『夜ひとりで寝る刑』を執行していた。

 

私と妻は寝室に入って鍵をかけた。リビングには娘用の布団が敷かれ、その周りには娘の大好きなぬいぐるみたちを配置した。でもそれでは無理だった。娘は泣きじゃくり、廊下までやってきて寝室のドアを叩き続けた。

 

私たちはドアを開け、娘をベッドの上に座らせた。なんでひとりで寝ることになったの?なにがいけなかった?

 

娘は嗚咽混じりに応えた。「◯◯ちゃん、ぱぱと、ままと、いっしょにねたいの」。会話が成り立っていない。

 

その後も辛抱強くやりとりを続けたのだが、彼女からでてくるのは『自分がやりたいこと(~したいの!)』と『それ以外への拒絶(だめ!)』のみであった。

 

娘は『やりたくないことも時にやらねばならない』ということをまだ知らない。『やってはいけないこと』はなんとなくわかってきたようだが、それでも自分がどうしてもやりたければ、できるものだと信じていそうだ。

 

人間の欲求というものは、本来そうなのであろう。それが成長と共に我慢を知り、自分の行ったことに責任をとることを覚えていく。娘はこれからなのだろう。

 

結局、昨夜は皆で寝ることにした。ただ次に同じことがあれば、今度こそひとりで寝るという約束のもとに。

 

涙と鼻水を拭いてあげると、娘は私と妻に身体をくっつけた態勢をとった。そこに居ることを確かめるように。

 

何事もケロッと忘れる娘だけど、少しは身に沁みてくれれば嬉しい。本当は私だっていつでも娘には甘々でいたいし、彼女の笑顔だけを見ていたい。もっと言えば明日から仕事なんていきたくない。でも行く。大人だから。