いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

先輩かぜ

昨日は久しぶりに会社で仕事をしてきた。

 

部下にあたる後輩が、夏休みを終えて出社する予定だったからだ。仕事で彼に聞きたいことがあったし、今後の業務の進め方について意識合わせも行いたかった。

 

炎天下での出社は想像以上に地獄だった。身体が火照って、ビルゲートにある自動検温器には何度も引っかかった(表示体温は39.4度、そんなわけあるかい!)。警備員にはしばらく涼むように言われ、数分間ゲート前で過ごしたのちに検温器を通過できた(ピー、正常な体温です)。

 

フロアは私と後輩のふたりだけだった。さすがにあと何人かは出て来ているだろうと踏んでいたのだが、なるほど、どうやら世間が夏休みだというのは本当だったらしい。

 

久しぶりに会ったので、後輩とは話が弾んだ。彼も外に出ず家で過ごしていたようなので、人と話すのは久しぶり、という嬉しさが滲んでいた。

 

適宜雑談をしながら、それぞれに手を動かし仕事を進めた。いくつかの質問をさせてもらい、仕事上の疑問点を解消していった。私は着任したばかりで、まだわからないことも多いのだ。

 

昼食も一緒に食べ、その道中でも雑談に花を咲かせた。共通の趣味も見つかり、彼という人間性もより知ることができた。

 

昼休憩を挟んだ後、私にとって昨日のメインイベントであった、後輩とのマンツーマンでの意識合わせを行った。上司という立場での、初めての部下との面談である。

 

私は意識あわせの目的と自分の考えを、準備してきた資料を見せながら、彼の表情を窺いつつ説明していった。彼はうんうんと相槌を打ちながら、資料を真剣に見つめ、私の話にもしっかりと耳を傾けてくれた。

 

話の主題は、来週以降本格化するリモートワーク環境において、いかにグループ内の連携をとっていくか、ということであった。

 

先輩である私は支える側だが、一方で、業務経験という意味では後輩が支えてくれる側にいる。ゆえに、相互支援の重要性は高く、互いにとって気持ちよい連携がとれる関係をつくりたい。それぞれが個人で抱える仕事も共有しあい、協同体制でスマートに仕事を行っていきたい。

 

そのようなことを真摯に伝えながら、そのための連携方法の案を出した。説明後、彼にコメントを求めると、全面的に同調してくれた上で、いくつかの前向きなアイデアも出してくれた。

 

目指すところとそのための連携方法についての意識が合い、さっそく来週に向けた情報交換までを済ますことができた。


部下と一対一で場を作った上で向き合う、ということは初めての経験だったので、少しばかり緊張した。しかしこちらの想いも伝わり、相手の考えも改めて知ることができた。適当に済ませることもできる内容だったが、真剣に準備した上で臨んでよかったな、と思うことができた。

 

その後も隣り合うの席で雑談を交わしながら、それぞれに手は動かしつつ仕事を行った。在宅勤務も楽だが、このように誰かと話しながら仕事ができるのも悪くない。

 

ちなみに、夕方近くには「俺、自販機行くけど、なんか飲むか?」という、古典的な先輩かぜも吹かすことができて、なんだか嬉しかった。

 

後輩は丁寧にお礼を言ってくれた。あまりクサい演技にならぬよう、できる限り自然に振る舞ってはみたのだが、どのように映っていたかは彼のみぞ知るところだ。