いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

夏休みがくるのは悲しい

夏休みに入るのが悲しいと娘が言う。

 

朝食時に卓上カレンダーを見ていたときのことだ。「これなんてよむの?」と、妻の書き込んだメモのことを訊いてきた。「終園式だよ」と教えてやり、それ以降は当分幼稚園がお休みになることも告げると、娘は声をあげて悲しがった。

 

『夏休みが嫌いな人間』がいるなんて思ってもみなかったので、娘のその反応が新鮮であった。それだけお友達と遊べる幼稚園が楽しいのであろう。

 

ただポジティブな娘はすぐに切り替え、「でもパパとあそべるからいいか」と嬉々として笑った。しかし私の夏休みが始まるのはもうしばらく先だよ、と伝えると、またまた嘆きの声をあげたのだった。

 

その期間、つまり娘が夏休みに入り私の夏休みが始まるまでの期間、妻はどうやって過ごそうかと頭を抱えている。娘の元気は溢れているし、かといって小さな息子もいるのでアクティブには動けない。そもそもコロナ渦で外にも出づらいご時世なのだ。

 

夏休みを喜ばしく思わない人間がこんな近くにもいた。もしかしたら、夏休みというのは私が思うほど能天気に歓迎するものでもないのかもしれない。

 

とはいえ私は夏休みが待ち遠しい。妻や娘には悪いが、それは抑えようもない私のなかの正直な感情である。夏休みを待ち焦がれているような人間は、もしかしたらこの世に私ひとりなのかもしれない。そう考えると、とても申し訳なく思うのだけれど。