私は外廊下を歩くのが好きだ。
こんな気持ちの良い秋の夜なんかは特に。涼しい風に吹かれていると、ゴミ出しのために外に出ただけなのに無性にワクワクしてくる。
タワーマンションが人気な理由のひとつが『内廊下』にあると聞いたときには驚いたものだ。確かにホテルみたいだし、雨に濡れない等の利点はあるのだろうが、私はそれを魅力とは感じなかった。
むしろ外廊下が好きだから、今のようなマンションを選んだのだ。季節も感じられるし、息苦しさも皆無だ。私が歩く外廊下からは静謐な竹林も眺められ、そよそよと品のある揺れ方をする彼らを眺めているうちに、こちらの心持ちまで整然としてくる。
気候の良いときはエレベータも使わずに階段をつかう。息切れするほどの階数ではないので、気持ちよく上り下りできる。気持ちがよいわりに適度な運動をした気分になるので、尚のこと喜ばしい。
空を見上げると、今夜は星が綺麗に瞬いていた。
ベランダに出したままだったビニールプールを、空気を抜くとともにゴミ袋に入れてゴミドラムまで捨てにいった。もう充分に使ったし、一部穴が空いていたので来年には買い換えようと決めたのだ。
プールを押し込んだゴミ袋を投入し、ゴミドラムのフタを閉めると、今年の夏が終わったことをありありと実感できた。あっという間だったが楽しかったな。色々な所に行けたわけではないのだが、思い返してみれば思い出はたくさんよみがえってくる。
夏のあとにくるのは、私の一番好きな季節だ。