ちゅとぎゅ。
娘が両手を広げ近づいてきた。寝る前の恒例行事だ。やさしくハグして、ほっぺたにキスを受ける。
なんでそんなに、ちゅとぎゅがしたいの?
望み通りの回答がほしくて、敢えてそんなことを訊いてみる。「パパのことがすきだから」と期待通りの返答がくる。ほっこりして悦に入っていると、「でも…」と娘が言葉を続けた。
「パパがやせたら、もっともっとすきになるよ」
最初は妻の口ぶりを真似していたのだが、今や娘の口癖になっている。私にダイエットや筋トレをするよう、しばしば発破をかけてくるのだ。
でも、そろそろ本当に、イイ男とそうでない男の見分けがつき始めているようにもみえる。テレビにキムタクが映ると、この人カッコいいと娘が言い、妻と盛り上がっているからだ(妻もキムタク好き)。
半分以上は面白半分で言っているのだろうが、もしかしたら、もう半分は娘の本音なのかもしれない。そりゃあカッコ良いパパの方が嬉しいよなあ。とりあえずは、今日の夕食は白飯を抜いておいた。