トーマス・サヴェージの『パワー・オブ・ザ・ドッグ』を読了した。
ビジネス書を読み漁る日々の狭間で、就寝前のささやかな楽しみとして、ちびちび読み進めていた。
ただ、この原作も映画の方も、各方からかなり絶賛されていたので期待値が高くなり過ぎたのだろう。読む前の想像は、正直なところ超えてこなかった。
文章自体に文学的な面白みは薄いし(冒頭の書き出しは見事だが)、物語も終盤までは特に強く惹きつけられることはなかった。
終盤の展開は面白いが、予想から遠くは離れず、想定内の着地となった。読了後、ネットで本書について書かれた考察や解説を読み、見過ごしていたいくつかの描写や背景に感心はさせられたが、作品自体を深く好きになるほどまでは熱中できなかった。
今が自己研鑽モードで、あまり文芸を読むに適した心持ちじゃないのも多分に影響があるのだろう。
ただ映画の方はまだ未読なので、観られる機会があれば鑑賞したいなと思っている。アカデミー賞候補にもなっているので、素晴らしい作品なのだろう。
前評判が高すぎて少々肩透かしを食らったという不運な形。作品は悪くないのに、なんだか申し訳なくなった。ある程度フラットな心持ちで読むべきか。