いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

親子イベント

鏡の前に立つ私は、朝から気合が入っていた。

 

今日は先週雨で延期になっていた幼稚園の親子イベントだ。ミニミニ運動会と題されており、父の日も視野に入れ、男親の同伴を想定した企画だと思われる。

 

自宅療養を経て体力が落ちてしまったので、醜態を晒さないかを心配していた。在宅勤務続きで今週もまったく外に出ていない。それがいきなり動いて大丈夫だろうかとも。

 

それでも気合を入れて、娘とふたりで家を後にした。人数規制があり、妻と息子はお留守番なのだ。娘と楽しくお喋りをしながら自転車を走らせ、幼稚園に着くと何人かの顔馴染みの親御さんと挨拶を交わした。

 

整列するとさっそく競技説明が始まる。どうやらクラス対抗戦のようだ。娘は仲良しのお友達たちと戯れており、およそ他のどの集団よりも彼女らの元気な声が場に轟いていた。

 

最初の競技は、網目を張ったフラフープでボールを運ぶ種目。親子でフラフープの両端を持ち、ボールが落ちないよう置かれたコーンの間をS字にくぐり抜け向こうのラインまで走る。そこで一旦ボールを下ろし、娘がボールを投げ私がキャッチ。再びフラフープの網目に乗せ、来た道を戻り、後続者にバトンタッチ。

 

我々はなかなかスムーズに走れた。チームもなんと1位を獲得。子供たちと一緒にガッツポーズをした。

 

次の競技は球入れ。親たちは子供を抱っこするなりして、球入れをサポートする。これまた盛り上がり、接戦が繰り広げられる。私も娘を高く抱っこし、娘の投げた球はどんどんとネットに吸い込まれていった。

 

私たちが参加した回は勝利したが、別れたもう一方が負け、競技総合は2位となった。残念だったが、1位と2位で戦績は悪くない。優勝の可能性もあるなと思った。

 

最後の競技はスキップリレー。人数の関係から娘と私が2回走ることとなり、クラスのアンカーを託された。うまくいけば優勝のゴールを娘と飾ることができる。否が応でも気合が入った。

 

最初のランが終わり、列の最後に並び直す。娘はアンカーの襷を斜めにかけており、私は娘の手を握り、走り損ねないようバトンタッチを受ける順番を確認しながら列を進んだ。

 

ただ結局、最後は想定もしない形となった。なんと私たちにバトンが渡る前に、ほかの2チームが走り終えてしまったのだ。

 

私と娘は同情の拍手と声援の中、敗戦処理ともいえる単独での手繋ぎスキップランをすることとなった。娘も状況は理解できていたようで、「わたしたちしかいない…」と残念そうに呟いた上で、唇をかしめながら無言で最終ランナーの役目を果たした。

 

競技の順位が発表され、当然ながら我々はビリの3位。その後3競技の総合結果も発表されたのだが、最終種目の配点が大きく、娘のクラスは総合3位と最下位でのフィニッシュとなってしまった。

 

とはいえ結果なんてそんなに気にはしないだろうと、思っていたのだが、実際には娘はかなり凹んでいる様子で、明らかに口数も乏しくなった。他のクラスメイトたちも同様で、年長さんにもなると、結果に対してショックを受けるようになるのだな、と図らずとも彼女らの成長を感じることができた。

 

解散となると、娘と少し遊んだ後、仲の良い友達たちと記念写真を撮った。頑張ったご褒美にとコンビニでお菓子を買い与え、昼食もついでに買い家に帰った。

 

結果は残念だったが、娘の幼稚園でのお友達との様子や、内面的な成長を感じられたよかった。昼からは家族みんなで昼寝。わずか1時間程度の運動だったが、気疲れも相まって、やはり相当に疲れていたようだ。