いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

たおやかに輪をえがいて

窪美澄の『たおやかに輪をえがいて』を読了した。

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これまでは図書館からビジネス書ばかりを借りていたが、夏休みということで試しに小説も借りてみた。小説はやはり買って読むに限る、そう思っていたのだが、借りてきた本でもやはり変わらず夢中に読めた。

 

そんなわけで、今後は棚に並べたいと思う一軍の本以外は図書館で借りて読もうと思う。また文庫化を待って長らく読めなかった新作も、一度図書館で読み、気に入れば文庫本を買って再読するスタイルにしたい。

 

さて前置きが長くなったが、このたび読んだ本作品について。結論から言えばとても面白かった。窪美澄はこれまでも好んで多くの作品を読んだ作家ではあるが、ここ最近では作品によって自分に合う合わないがあることに気づいた。

 

ゆえに窪作品を選ぶ上ではあらすじやテーマを事前に見定めるようにした。今回は52歳の平凡な主婦が、家庭のトラブルを経て自らの人生を見つめ直す内容と知り、本書を手に取った。数十年後に向けて備えられる何かが、得られるかもしれないと期待して。

 

平凡な主人公であるがゆえに、本当にどこの家でも起こり得る些細なトラブルが起こり、それをきっかけにして家庭の平穏が失われるストーリーだった。見方によっては地味な展開とも言えるのだが、私にしてみればそこがリアルで面白く感じた。

 

私も妻とは比較的仲良くやっていて、今のところ家庭の心配はまったくしていないのだが、思えば我々もまだ結婚して10年も経っていないのだ。自分が50歳になる頃のことなんて今は想像もできない。裏を返せば何事が起こっても不思議ではないのだ。

 

そんなわけで本書を読んで改めて家族を、妻を大事にしようと思った。一応は物語も希望の兆しが見えたところで幕を閉じたので、何を置いても愛情だけは忘れないようにしようと改めて思った。

 

そんな気持ちにさせられただけでも、本書を読んだ価値はあっただろう。文章も読みやすく、人物も良く描かれていた。私にとっては好みにあった作品だった。