いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

家族養分

昨日は会社の飲み会があった。初めて飲むメンバーばかりだったが、小規模な飲み会ということもあり、あまり気を遣わずに予想以上に楽しむことができた。

 

年齢が20も上の先輩方と主に話をしていたのだが、そんな場面でもひとたび子供の話をすると、ぐっと親密度が増したように感じられるから嬉しい。

 

そして、この人は高校生の娘さんのお父さんなんだな、という事実を知ることで、私としてもその人に対する親しみの念が増したように感じられた。

 

そんな飲み会があった為、家に帰り着いたのは22時を過ぎていた。前日でいえばすでに家族全員で就寝していた時間だ。

 

家の鍵を自分で開けて中に入ると、リビングの電気は最小限に落とされ、妻は布団で横になっているようだった。


しかし娘の方はというと、ドアが閉まる音を聞きつけたのか「パパ」と声を上げた。どうやらまだ起きていたらしい。リビングの扉の磨りガラス越しに、娘がこちらを覗いている姿が見えた。

 

私は扉越しに娘に「ただいま」を言うと、その後いそいでシャワーを済ませた。数十分後に就寝できる状態でリビングに行くと、娘はまだ起きていた。

 

私はリビングの電気をすべて落とし、布団に横になった。娘はしばらくのあいだ私と戯れたがっていたものの、私が辛抱強く寝たふりを続けていると諦めたのか横になり、数分後には寝息を立てていた。

 

その日は娘の顔に肌荒れの薬を塗る曜日だった。私は薄明かりの中で彼女の顔に薬を塗った。その後、手を洗いに行くためリビングを出たのだが、再びリビングに戻ると物音で娘が起きてしまう恐れがあること、そして飲み会の日はいつもにも増して私のイビキがうるさいことを鑑み、その日は寝室で一人眠ることにした。

 

寝室で寝ることも、一人で寝ることも、とても久しぶりだった。たしかに何も気にせずに広々と寝れるけど、なんだか寂しい。たまに寝室で一人で寝てもらっている妻の気持ちが、少しだけわかったような気がした。

 

今朝。起きて会社に行く身支度をしていると、妻と娘が起きてきた。娘にお茶を飲ませ、パンを食べさせた。妻とは昨日あったニュースについて、昨夜の娘の様子についての会話を交わした。

 

何気ないささやかなやりとりだ。しかしただそれだけで、昨日一日で枯渇しかけていた“家族養分”が満たされていくような気持ちだった。

 

申し訳ないが、いかに楽しかろうと昨夜の2時間の飲み会は、今朝のこの数分間の幸福感に勝ることはできない。

 

やっぱり私にとっては、家族といる時間がなによりもの力の源なのだな。そんなことを改めて感じた。

 

今日は早く帰ってこれるかな。やることはたくさんあるが、できる限り努力をしてみよう。

 

それがまた、明日への私の活力になる。そしてそれがきっと、家族全体の元気へも繋がっていくはずだ。