いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

穏やかな目覚め

穏やかな休日の朝だった。

 

私は夢の中でサッカーをしており、ボレーシュートをしたところで現実世界でも足を振り、それが妻に当たって痛がらせてしまった。うんざりしたような妻の舌打ちが聞こえ、私は薄っすらと目を開いた。

 

妻には申し訳ない気持ちになったが、心地良いまどろみが身を包んでいた。このまま趣くままに惰眠を貪ろう。なんたって今日は休日なのだから。私はふたたび目を閉じて眠りの世界へと沈んでいこうとした。

 

しかしどこかに引っかかりを感じた。娘に触れないよう、枕の下に手を入れる。スマホがない。私は静かに立ち上がってリビングへと向かった。それに気がついた娘が寝ぼけながらに言う。「ぱぱ、おしごといかないで」

 

リビングで充電しっぱなしだったスマホを確認する。やはり。今日は休日なんかではない。まだ水曜日だ。昨日業務で大仕事をやってのけた達成感から、勝手に意識が休日モードに切り替わっていたのだろう。

 

幸い、早起きの習慣が体に染みついていたお陰で、まだ仕事に遅れるような時間ではなかった。しかし休日だと思い込んだまま二度寝をしていたら、スマホのアラームもなく起きれなかったかもしれない。

 

私はベッドに戻り、ふたたび身を横にした。代わりに妻がもそもそと起きて、部屋を出ていった。今日はお弁当を作ってくれる約束だったのだ。寝ぼけつつも温もりを求めてくる娘に身体を提供しながら、私は起きるべき時刻がくるまでの、しばしのボーナスタイムを味わった。

 

なにあれ、とても心落ち着く穏やかな時間だった。今日も外に出て働かねばならない。その元気をもらった。