いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

転職する者、しない者

転職を悩む仲の良い同期と飲んできた。

 

仕事後に梅田で落ち合う。ふたりだけで会うのは本当に久しぶりだった。彼の勧めで近くの居酒屋に入る。

 

さっそくざっくばらんな会話が始まった。彼の転職先のこと。転職活動のこと。今のそれぞれの部署のこと。そして結婚生活のこと等も。

 

会話をしながら、彼がほんとうに様々なことを考え、明確な意思の元に行動していることが感じられた。転職活動で視野も広がり、自信もついたのだろう。

 

彼が転職を考えているのは、業界では知る人ぞ知る外資コンサルタント会社だ。勝ち抜いた面接内容を聞くと、いわゆるケース面接と呼ばれるものがあり、とても難しそうだった。書籍まで買って対策したらしい。たいしたものだなと思った。

 

転職の理由もしっかりとしていた。年収アップという狙いももちろんあったが、自分のやりたい仕事、そして自身の市場価値を高め、どこの土地でも好条件で働ける自分を築きたいとのことだった。

 

彼の最終目標は地元北陸に帰ること。地元にいる家族、そして同郷育ちの奥さんのことまでを考えてのことだ。

 

これほど確固たる動機があるなら、もはや私からは応援の言葉しかなかった。あとは自分自身で納得するまで悩み、答えをだせばよい。年末年始に家族とも話をし、最終決断を下すらしい。

 

その後は楽しく会話を交わしながら、2時間飲んだ後に解散した。彼は私にも転職活動を勧めてくれた。転職しないにしろ、経験値も積めるし、自分の市場価値を測れ、視野も広がるとのことだ。

 

私としては今の仕事にも面白さを見いだせているし、なにより仕事はそこそこに楽しめ、安定して家族を養えるに十分なお金を貰えればよいという考えなので、今の会社を去ることは全く考えていない。

 

その中で、家族と過ごす時間や自分の好きなことをする時間(例えばこのように文章を書くこと)が確保できれば、これ以上に幸せなことはない、と考えているのだ。

 

ただ、そんな明確な自身の価値観を持ちつつも、向上心に満ちた野心的な彼の話を思い出すと、自分がなんとも小さな男のようにも思えてくる。

 

駅へと向かう帰り道、夜空がいつもより大きく感じられた。なんにせよ、とても刺激をもらえた夜だった。