いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

「もぅ、しあない」

一昨日くらいから、娘がこんなことを言う。

 

おそらく娘は、妻の「もう、知らない」と突き放す際の真似をしているのだろう。

 

なにか娘が駄々をこね、それに対して私が受け入れないときにこれが発動される。娘は捨て台詞のようにその言葉を吐き、漫画での怒った人のように、大げさに腕を振りながら、大股でプリプリと歩き去って行く。

 

そしていつも、リビングから一番遠い洋室(今はまだ物置だ)に入っていき、戸を閉めてしまうのであった。ちなみに、そこに至るまでの道中にも「もぅ、しあない」と何度もつぶやき、怒っているアピールは欠かさない。

 

娘のその一連の行動があまりにも可愛い為、私はダメだと思いつつも彼女のペースに乗っかってしまう。ついついご機嫌をとりに、くだんの洋室までお迎えにはせ参じてしまうのだ。

 

「ごめんね、もう出てきてよー」

 

洋室の戸の前でそう投げかけると、部屋の中からは再び「もぅ、しあない」と小さく聞こえた。それでも粘り強く、しばらく呼びかけ続けていると、ゆっくりと戸が開き、中からにやけ顔の娘が出てくるのであった。

 

駄々のコネ方、かまってもらう手法にも、バリエーションが出てきたなぁと思う。自分が(ママに)されたことから習得し、(パパに)やり返してみる。知恵がついてきたことを感じさせられる。

 

それにしても、娘から「もう、知らない」と突き放されるのは、(ノリとはいえども)心の糸がぴんっと引かれるものだ。

 

思春期になったらこんな言葉をたくさん浴びなければいけないのか、果たして堪えられるだろうか・・・と、少しだけ恐い気持ちになってしまった。

 

きっとそのときは、戸の前にお迎えに行くことも許されないのであろう。捨て台詞すらも吐かれないのかも・・