いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

さっき

娘は最近「さっき」という言葉をよく使う。

 

というか、彼女にかかれば、これまでのあらゆる過去が「さっき」になるみたいなのだ。

 

「あんぱんまんのおうち、いったね、さっきね」

 

アンパンマンミュージアムに行ったのは数ヶ月も前の話である。そして娘は一方で、本当に「さっき」やったことも「さっき」と言う。

 

「さっき、ごはんたべたっしょー」

 

単に娘が言葉を知らないから、過去がすべて「さっき」となっている。その可能性が一番高いのだが、それでもなんとなく「さっき」という言葉を辞書で引いてみた。

 

さっき:ちょっと前。いましがた。先ほど。

 

やはり、明確な時間の制限があるわけでもない、謂わば感覚で用いる言葉だ。大人だとその感覚はだいたい合っているが、娘はまだ幼児。そうであれば、あながち娘の使い方が間違っているとは言い切れないかもしれない。

 

娘のような幼児の“感覚”では、数ヶ月前も数分前も、あまり大差ない「ちょっと前」なのかもしれないからだ。

 

そんなふうに考えると少し面白い。私は幼少期の記憶がいっさい残っていないので、もしそのような時間の感覚があったとしても不思議ではないように思ってしまう。

 

どちらにせよ、娘にはいろいろな経験をさせて、楽しい「さっき」をたくさん作ってあげたいな。

 

改めて、そんなことを思ったのであった。さっきね。