いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

スネ子ちゃん

娘は最近スネ子ちゃんだ。

 

なにか意に反することがあると、ふてくされてスネてしまう。完全にかまって欲しいがゆえのポーズなのだが、そのスネっぷりはなかなかにクオリティが高い。

 

昨夜も、娘からご飯前に遊ぼうと誘われたが、ご飯を食べてからね、と私は断った。すると、娘の首はうなだれる。そしてわかりやすいくらい肩を落として、とぼとぼとリビングから出て、ひとり寝室へと引き篭もる。

 

一見落ち込んでいるようだが、そうではない。片方の口端をつり上げ、眉間にしわを寄せるように目を細め、これでもかというくらいに不愉快な顔を作っている。

 

しばらくしても戻ってこないので、仕方なく私が寝室へと迎えに行くと、娘は入り口にお尻を向け、ベッドの上でうつ伏せになっていた。片肘をつき、その手のひらにはほっぺたを乗せている。

 

私は回り込んで娘の顔を見た。相変わらず、あのむすっとした表情を浮かべていた。私が動くと娘もくるりと身体の向きを変え、そっぽを向き続けようと抵抗する。

 

以上が、おおよその描写となる。

 

どうだろう、スネ方としてのクオリティが高いであろう?どれも古典的な振る舞いで、見せ方はとにかく漫画的だ。おそらくは大好きな『トムとジェリー』の表現を参考にしているのではないかと思われる。

 

私はその後、しつこいくらいに娘の機嫌取りをし、娘のかまって欲を解消してあげた。そしていつもそこから、じゃれ合いや遊びへと発展していくのだった。

 

ちなみに、寝室へと向かう所作にはいくつかのパターンが存在する。鼻息を聞こえるくらいにふんっふんっと鳴らし、肩を上下に弾ませながら怒りをアピールするパターンや、踵を返すように勢いよく振り返り、小股でスタスタと歩き去る「もうしらないっ」パターンだ。

 

いずれにせよ、自分の喜怒哀楽、もしくはそれ以上に子細な感情を、身体や表情を使って表現しようとする心意気に、私は見所を感じている。将来、演劇部にでも入ったらいいのではないだろうか。

 

スネ癖がついてしまったら、私らも困るのだけど、それでもあまりに面白くてついつい観察してしまう。かまってちゃんのスネ子ちゃん。ほってはおけない存在だ。