いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

『1対9』

妻と娘が実家に帰った。

 

毎年恒例のことだ。夏休み前に地元の大学でOB会があるので、そこへ参加するがてら、ひとあし先に帰省するのだ。私も夏期休暇に入り次第、そこで合流する。

 

人間というのは身勝手なもので、常に無いものねだりの心情がはたらく。家族と一緒に過ごすのが大好きな私も、たまにひとりの時間があれば楽しく感じるし、ひとりでばかりいると家族と過ごしたくなる。

 

昨日は、久しぶりにひとりになったばかりだったので、『寂しさと楽しさ』が『1対9』くらいの割合だった。

 

きっとこれから日が経つ毎にその割合が変わっていき、最終的には逆転、寂しさの臨界点を超えるのだろう。ひとりの期間は2週間ちょい。来週くらいが山だろうか。

 

会社からの帰り道は、普段ではできないことをしようと気負い、ひとりラーメン屋に入った。家に帰ってからも、自分のペースでシャワーを浴び、普段ではなかなかできない勉強を、3時間も机に座りすることができた。

 

寝る前にはテレビ電話もし、妻と娘と画面越しに楽しい会話をしたのだが、そこでもまだ、寂しさという感情は抱かないままだった。就寝にも支障がなく、いつも通りにぐっすりと眠れた。

 

そんな感じで迎えた今朝、いつも通り支度をして家を出ようとした。そのとき、玄関であるものを発見する。

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・・ピッ・・『2対8』・・目盛りがふれる音がした。