いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

遠距離家族

妻たちが実家に帰ってから、よくビデオ通話をする。

 

ここのところ仕事で帰りが遅かったが、それでも少しの間だけ通話をつないで娘と戯れた。LINEのビデオ通話を使っているが、画面に映っている顔に、リアルタイムでビジュアル加工できる機能があって面白い。

 

娘は通話をはじめると、今日の出来事を報告してくれたり、できるようになったでんぐり返しを見せてくれたりした後、きまって「へんなかおやりたい」と言い出す。そのエフェクト機能のことだ。

 

犬になったり、猫になったり。はたまた角が生えたり、お化粧されたり。いろいろなフィルターがあって楽しい。また口を開けるとアクションが起きたりもして、娘はたいそう喜んでいる。

 

だいたいは私が何かのエフェクトをやると、娘も同じものをやりたがる。そして効果にあわせて表情や仕草をしたり、シチュエーションにあわせて演技したりする。娘はなかなかの役者だ。

 

そのように、短いが楽しい時間を過ごす。ただ、ここのところ残業続きで通話開始が遅いので、娘に夜更かしをさせないよう、盛り上がっている最中に無理矢理くぎりをつけ、通話を切らなければならない。

 

通話を切ろうという素振りや「おやすみ」を言い出すと、娘は黙り込み不機嫌な顔を見せる。そして次第に表情を崩していき、終いには泣き出してしまうのだった。

 

お別れしたくなくて泣いてくれるのはとても嬉しいのだが、自分のせいで泣かせてしまうのはやはり心苦しい。なんとか笑って「おやすみ」を言いたいのだが、ここ数日はそれができず、泣き顔のままで通話を切った。

 

そんなとき、寂しい思いをさせて申し訳ないという気持ちと、自分自身の寂しいという思いがこみ上げてくる。

 

夏休みでの合流まであと10日。

 

はやくもカウントダウンを開始してしまった。