いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

友達と公園で隠れんぼ

昨日、妻のテニスの試合が終わった後の話だ。

 

昼寝していた娘が目を覚ますと、彼女はまた元気を取り戻していた。私たちが別チームの応援をしているコートの傍らで、彼女は活発に遊びまわり始めた。

 

面白い形の木の実を見つけ、それをたくさん集める遊びをしていた。そんな娘に、ひとりの女の子が近づいてくる。娘よりも半年くらい年上で、どうやら別チームの応援に連れてこられた女の子のようだった。

 

「それ見せて、どこでとったん?」

 

娘はいきなり声をかけられ戸惑いながらも、手に持った木の実を差し出す。「あそこ」といって、木の実が落ちているところを指さした。

 

「ふーん、アタシもとりたい」

 

それを聞くと、娘は笑顔を浮かべた。そして「きてきて」と得意そうにその女の子を誘い、一緒になって木の実を探しはじめた。

 

私も一緒になって木の実集めをしているうちに、ふたりはすっかり友達になった。というか、娘がその女の子のことを大好きになった。女の子はワカちゃんと呼ばれていた。その後も娘はことあるごとにワカちゃんに近づき、一緒に遊具コーナーにも遊びに行くことになった。

 

しばらくはふたりだけで遊んでいたのだが、あるエリアに行くと小学生くらいの男女が集団で遊んでいた。社交的なワカちゃんは、ぐいぐいとその輪の中に入っていく。ワカちゃんと遊びたい娘も、それに付いていく。

 

面倒見の良いその小学生たちは、小さい彼女らのことも仲間にいれてくれた。小さな二人にはサポート役の年長者をつける形で、隠れんぼをすることになったようだ。

 

皆から名前を聞かれた娘は、しっかりと自分の名前を告げていた。娘が社会に溶け込んでいく瞬間を見たようで、私は人知れず小さな感動を覚えていた。

 

結局、隠れんぼのルールをあまり理解していない娘は、せっかく隠れたのに自らで姿を現したりして、少しぐだぐだな感じになっていたのだが、お姉さんたちにうまくサポートしてもらい、最後までゲームに参加させてもらっていた。皆と遊べて、娘はさぞ楽しかっただろう。

 

その後、辺りが薄暗くなって、ワカちゃんもお姉さんたちも家に帰ることになった。私は丁寧にお礼を言い、娘にもバイバイをさせたのだが、彼女は涙を流して寂しがっていた。もっともっと皆と遊びたかったのだろう。

 

私は娘を抱っこし慰めながら、妻のいるコートへと戻った。娘にとっては、とてもいい経験だったに違いない。ワカちゃん、小学生たち、遊んでくれてありがとう。