いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

IT展示会ふたたび

昨日はIT展示会に参加するため東京を訪れていた。

 

春にも参加した『AI・業務自動化展』だ。ただ前回とは異なり、会場は幕張メッセだった。私は台風が最接近するタイミングでわざわざ関東へと赴き、横殴りの雨に足を濡らされながら、会場へとひとり歩いて向かった。

 

会場に入ると、まずは予約していた講演ブースへ行った。前回の参加で、私は多くのことを学んでいたのだ。ブースを歩き回るだけだと疲れる。朝早く行くと眠くなる。長い時間居てもいいことはない。等などである。

 

私は期待感を胸に講演を聞き始めた。テーマは『ITを活用した働き方改革』で、2社の代表者による講演が予定されていた。しかし聞き始めてみると、その内容のほとんどは自社製品の宣伝だったのである。よくよく考えてみれば想像できたであろう構図ではあるが、そのあまりの商売臭さに私は辟易とさせられてしまった。

 

そのため私は2組目の講演途中で席を立った。そこからは、お目当てだった展示ブースを見て回ることにした。

 

ブース回りについても、前回からは多くの学びを得ていた。私は効率よくブースを一周し、必要性を感じたものだけを、テンポ良く収集していった。

 

ブースめぐりを約40分ほどで切り上げ、私は大雨による電車遅延のリスクも加味し、予定より早く駅へと向かった。雨は相変わらず強く降っており、私は持ちうる傘スキルを総動員しながら、身を守りつつ早足で歩いた。

 

帰りの新幹線の席に着くと、私はひとり安堵のため息をついた。ここまで来ればもう大丈夫だろう。私は鞄を降ろし、中から戦利品を取り出しはじめた。

 

カロリーメイトプリッツ、チョコレート。

 

私は順番にそれらを開け、空腹を満たしていった。各ブースで客引きとして配られていた品物たちだ。前回の反省から、私は今回お菓子だけにターゲットを絞っていた。ただ、あくまでお菓子目当てだとは見破られないよう、クールな顔で受け取ることに細心の注意を払った。

 

私は戦利品を全て食べ終わると、シートに深くもたれかかった。今回の仕事も無事やりきった。私は意味も無くシャツの第二ボタンまでを開け、深く息を吸った。

 

ただ、食べ尽くしたお菓子の残骸を眺めているうちに、ある後悔が私の胸へと沸き上がってきた。

 

私はあろうことか、最後に差し出された『ブラックサンダー』を、クールぶるあまりに取り損ねていたのだ。お腹には、そのブラックサンダーがちょうど収まる程度の、わずかな空腹感が残されている感覚があった。

 

ただ、それを今更後悔しても仕方がない。仕事には失敗がつきものなのだ。前を向いて、次回へと活かそう。