いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

赤ちゃんのお世話ごっこ

娘は事前準備に余念がないようだ。

 

妻の妊娠がわかってからというもの、赤ちゃんをお世話する遊びをやりたがる。そのため先日はオモチャの哺乳瓶も買い与えた。毎晩それを使って人形や私を赤ちゃんにみたて、お世話の予行練習を行なっている。

 

昨夜も私に「あかちゃんになって」と言ってきた。私はその場で横になる。そこから私は、所謂「バブバブ語」で話し始めるわけだが、ここには書くに耐えられない内容のため、私側の台詞は割愛して記すことにする。

 

「あら、みるくがほしいですか?ちょっとまってね」

 

娘はそう言いながら私に哺乳瓶でミルクを与えてくれる。3杯飲んでようやく泣き止んだ私に、娘は「ねんねしましょう」と言い、おもむろに本棚へと向かった。

 

とってきたのは私の分厚い国語辞典であった。娘はそれを絵本に見立て、私に見せるようにページを捲りながら、物語調のお話を聞かせてくれる。

 

「おんなのこがいました」
「はしっていきました」
「べびーかーでもいきました」
「ここはみっきーのおうちです」
「ここはまいめろちゃんのおうちです」

 

文字がぎっしりと詰まったページを見つめながら、そんな即興を聞かせてくれた。律儀に1枚ずつページを捲るので、分厚い国語辞典はいつまで経っても終わらない。

 

私は赤ちゃんになりきりお話を楽しみながらも、娘がどのように話を終わらせるのかに興味津々だった。すると、娘は15ページほど捲ったのちにこう言った。

 

「ねむくなりましたか?じゃあ、つづきはあしたね」

 

その後も、ぬいぐるみであやしてくれたり、いないいないばあをしてくれたり。なかなかいいお姉さんだった。

 

ママのところに行きたいとごねてみたら、「ままはいまおなかいたいから。でも○○ちゃんがいっしょにいてあげるよ」と優しく囁き、私の頭をそっと撫でてくれた。

 

早く本当のお姉ちゃんっぷりが見たいなあ。とても気が早いのだが、昨夜はそんなふうに思ってしまった。