いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

エコー写真

昨日は妻のお見舞いに行けなかった。

 

雨が降ったことがその最大の要因だが、娘のくしゃみが増えてきたことも自宅にこもった理由のひとつだった。

 

娘は「ままが、いつくるかなあって、かなしがってるかも・・・」と、眉毛をハの字に曲げてしおらしい発言をこぼしていた。それを聞いた私は、やっぱり傘を差してでもタクシーで行こうか、とも思いかけたが、最終的にはコロナのことも気がかりで、自宅待機を選択した。

 

天気予報から土曜は来れないだろうことは、あらかじめ妻も承知していた。お見舞いに行けないことを改めて伝えると、身体を休めるよう、気遣いの返信をもらった。

 

お昼過ぎに妻からLINEが入った。本日予定していた診察が終わったようだ。治療経過は順調のようで、今後何事もなければ月曜日には退院ができるとのことだった。

 

また胎児のエコー写真も送られてきた。

 

元気に動き、順調に成長しているとのことだった。そのとき一緒に遊んでいた娘も、スマホを覗き込む。赤ちゃんの写真を見せ、妻からのボイスメッセージを聞かせると、娘はベッドの上で万歳をしながら飛び上がった。

 

「やった!あかちゃん、おおきくなってるって!」
「そうだね、元気でよかったねえ」
「でてきたらいっしょにあそべるよ!たのしみ!」

 

娘は赤ちゃんが産まれてくることを心待ちにしている。そんな姿を見るたびに、安産への祈りが強くなる。赤ちゃんだけではない。妻になにかあってもだめなのだ。

 

今回の入院は、それに向けた最善手であるはずだ。乗り越えた先にある『明るい未来』を信じる。今の私にできることといえば、それくらいしかないのだ。

 

ただ、以前よりも大きくなった新しい家族のエコー写真を見つめていると、とても勇気がもらえるのであった。