いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

バビロンに帰る

スコット・フィッツジェラルドの『バビロンに帰る』を読了した。村上春樹による編訳だ。
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これでフィッツジェラルド作品を読むのは5冊目となった。今回も文章が奏でる調べを堪能しながらに読んだ。

 

本著には、フィッツジェラルドの短篇5篇と、彼に関する訪問記が1篇、エッセイが1篇収録されている。どれも読み応えがあり、とても満足感が得られた。

 

中でもやはり短篇が良かった。訳者は表題作「バビロンに帰る」を特に絶賛していたが、私は他の4篇もそれに負けず劣らず楽しく読めた。5篇が執筆された順番に並べられており、添えられた村上の解説も読みながら、フィッツジェラルド作品の変遷を味わうことができた。

 

また、Amazonプライムフィッツジェラルド夫婦を描いたドラマ『ゼルダ』があることを思いだしたので、本書を読みながら並行して観ていた。これまで思い描いていたフィッツジェラルド像、妻のゼルダ像がまさに再現されていて、更に彼ら夫婦に対して興味を抱いた。

 

本当にドラマチックな人生だ。あんなに破天荒な生活を送りながら、問題のある精神を内に秘めながら、なぜあんなにも美しい文章が彼には書けたのだろうか。きっとこれが、俗に言う天賦の才というやつなのだろう。ドラマはまだシーズン1しか出ておらず途中なので、是非とも続きを制作してほしいなと願っている。

 

フィッツジェラルド作品に触れるのは私にとっての喜びだ。今後も折にふれ、その世界を探索していきたい。