いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

娘が喜ぶ言葉

娘を喜ばせる殺し文句がある。

 

「あれ、もう5歳になった?」だ。娘が立派な行いをした際に私が口にしたのが始まりだった。その言葉を聞くと、娘はにわかに上機嫌になり、浮ついた様子で謙遜を示すのだった。

 

それから私は、同じようにお利口さんな行動がみられたときにはその褒め言葉を使うようになった。娘は毎回照れくさそうに否定する。

 

「も〜、ぱあぱ〜、まだはやいよ〜///」

 

そう口にしながらもまんざらでもない様子なのだ。全身をくねくねとくねらせ、心の中では「そうかな〜、私5歳に見えるのかしら、きゃ〜///」と、脳内に住むもうひとりの娘が、嬉しさのあまり身悶えしている姿が想像できる。

 

妻が20代に間違えられた際には、これと同じような反応を示すのかもしれない。ある年齢までの女の子は上の歳に見られることを喜び、ある年齢以降は若く見られることを喜ぶ。それは男性も同じかもしれないが、女の子の場合はその喜びを隠しきれていないから可愛いなと思う。

 

とくに娘は年齢というものへの意識が高い。よく「これ、3歳のときはできなかったよね」とか、「もう4歳になったからできるよ」とかを口にするのだ。成長のバロメータなのだろう。

 

そんな性格を知っているから、私たちもよくそれを利用する。初めてトイレで大きい用をたせたときには、「これで本当の4歳になれたね」と褒めてあげたものだ。娘もそれ以降、心なしか前よりも胸をはって4歳を口にしている。

 

今日は皆でお出かけの予定だ。娘の5歳並の行動は見られるだろうか。綺麗に着飾り20代と見紛う程の美しい妻と、一緒に見守りたいと思う。