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文学パパが綴るかけがえのない日常

自負と偏見

ジェイン・オースティンの『自負と偏見』を読了。
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名高い古典作品だが、実際に読んでみて、これは紛れもない傑作だと思わされた。

 

第一印象が最悪なふたりが、しだいに惹かれあい、身分の違いや様々な障害を乗り越えながら、最後には晴れて結ばれる。恋愛作品の超王道ではあるが、この作品がすべての源流なのかもしれない。

 

驚いたのはこれが書かれた200年前の男女も、生活様式は違えど、今の私らと何らかわらない恋愛を繰り広げていたということだ。嫉妬や嫌悪、疑念に誘惑。相手の一挙手一投足にドギマギさせられながら、感情と行動がうまく噛み合わない。

 

いつの時代でも、男女の恋愛は同じようなものだったんだな、と教えられた。女性が男性を見る観点や端々で抱く感情が、とてもリアルに感じた。

 

そのスリリングな展開に、だれる間もなくページをめくり続けた。ふたりの結末が果たしてどうなるのか、最後の最後まで逸る気持ちに後押しをされながら、のめり込むようにして読んだ。

 

今作の美点は、そのようなストーリー展開といったエンタメ要素だけではない。文学作品として読む喜びも兼ね備えている。流暢でウィットに富んだ地の文に、人物たちの魅力あふれる会話文。英文学特有の皮肉さに、貴族たちの絢爛なる言い回しに、読んでいて思わずニヤリとさせられるのであった。

 

キャラクターそれぞれに存在感があり、特にふたりの恋路を邪魔する“悪役”や“邪魔者”たちは、なんとも強烈な印象を残す。少々の外的描写と、その都度都度の言動だけで、こんなにも生き生きと人物を立ち上げられるものなのか。まったく脱帽である。

 

また、それぞれの心理描写やそれに伴う行動には説得力があり、本当に人物たちが動いたことにより物語が進んでいくように思えた。つまりは彼らがシナリオの操り人形のようには思えなかったのだ。

 

この作品は何度も映画化されているが、私はAmazonプライムで観られる作品の中から最新の映画『プライドと偏見』を選び、小説と並行して鑑賞した。原作の方が素晴らしいのは言うまでもないが、映画としても大変良い出来に思えた。

 

なんとも素晴らしい読書体験だった。やはり時の洗礼を経ても人気を博している作品というのは、読んで間違いがない。オースティンの他の作品も、新訳版がでた暁には、必ずや手に取り読みたいと思う。