いつかこの日々を思い出してきっと泣いてしまう

文学パパが綴るかけがえのない日常

オードリー若林のトーク力

ラジオを聴いていると芸人の凄さを実感する。

 

とくに瞬発的な切り返しとフリートークではその真髄をよく味わうことができる。中でも毎回感服させられるのはオードリーの若林だ。

 

昨日のラジオにおいても、その力を遺憾なく発揮していた。軽快なオープニングトークは、淀みなく話題が連鎖されていくし、端々のさりげないワードチョイスにはただただ感心させられる。

 

今回の若林のフリートークゾーンでは、最近ベランダで育てはじめたというミニひまわりについての話がされた。種から育てるのは初めてらしく、なかなか芽が出ず気を揉む日々が続いていたらしい。

 

それが先日、ついに芽を出してくれて、可愛くて仕方がないのだと言う。しかし喜んだのも束の間、次の工程が『剪定』であることを知ったのだった。

 

愛情を注ぎ、やっと顔を出した幾つかの芽。それを半分に『剪定』しなければ、養分を奪い合いうまく育たないのだという。なんて残酷なんだ。それを簡単にできる人間は非常な奴だと、熱を込め訴える。

 

ここまででも、若林の人間性や最近の趣味を知ることができる良いエピソードだ。しかし、ここから若林独自の目線が入ってきて更に面白くなっていく。

 

はたして『剪定』するにあたり、どうやって残す芽を選べばよいのか。早く芽を出したものが見込みがあるといえるのだろうか、と話は展開されていく。

 

芸能界におきかえてみても、早くテレビに出た者が実力者というわけではない。一発屋だっているし、もしそのような『剪定』を早期にされたのであれば、オードリーのような遅咲き芸人が世に出ることはなかったであろうと、若林は熱弁する。

 

かといって遅く芽が出た者が長く生き残れるというわけでもない。どう選べばよいのか、本当にわからないのだと若林は頭を抱える。そこから徐々に話は、ひまわりと芸人の『剪定』話が入り混じってくる。将来性を早期に見極めるには、フリートークをさせてみるのがよいのではないか、そんな自論を、説得力を纏わせながらに持ち出してくる。

 

そんなわけで、ひまわりの『剪定』にあたっては、ひとりずつフリートークをさせようと思っている。そんな軽いボケから、芽たちを実在の芸人に重ねてみると案外悩まずに切ることができるかも、と戯けてみせる。最後には仲間内の芸人の名を出し、こいつだと思うとすぐ切れるわ、とオチをつけた。

 

ここでジングルが鳴り、若林ゾーンは終わる。その後、春日のフリートーク、恒例のコーナーが終わり、盛り上がりの中でエンディングトークとなる。

 

今日の総括として若林が話しだす。数十分前にあった春日のトークゾーンの終盤、オチを盛り上げようと春日が話を大げさに脚色し、それを若林が鋭く見破った件を蒸し返す。あんなバレバレな嘘は見過ごせなかったから、悪いけど『剪定』させてもらったよ。そういって、2時間にわたる今回の放送に、華麗なる大オチをつけてみせるのであった。

 

実に見事だ。良いラジオはこれまでの放送からも緩く一本の線が繋がり、各放送回の中でも一本の軸が築かれる。今回はまさにそんなお手本のような回であった。このクオリティで毎週放送されている。圧倒的人気を誇る長寿番組になるのも納得であろう。

 

本当に若林のトーク力には毎度のこと感動をさせられてしまう。彼の華麗なる話術に酔わされ、私はまた次の週末が来ることを心待ちにするのであった。